第503回 2軒の伝統構法
6月に入り、なかなか休みも取れないし、「今日は時間がある!」という事で。
一路福井県金津へ。名勝養浩館庭園。といっても、庭園ではない。
300年前に建てられ、福井大震災で被災し、その後復興された。
建物自身は比較的新しく感じました。
障子を開け放つと、庭園の第パノラマが一枚の絵の様に目に飛び込んできます。
屋根は杮葺き、一部ひわた葺き。材料は結構細く感じ繊細に見えます。
石場建てで、伝統構法を楽しむことが出来ます。
池に跳ねだしたような家のつくり
新緑の木々に包まれたアプローチ
杮葺きとひわた葺きの入り組んだ屋根のつくりが「おりべ」の世界を誘う
もう一つは、鯖江にある瓜生邸。
この建物も300数年前に建てられ、移築されたものです。
建築材料や組み方は当時のままだそうです。
外観は、萱葺きの装いで普通の感じと変わらない
まあ、軸組のダイナミックさに圧巻です。是非、皆さんもご覧になって下さい。
柱も曲がったままで使い、枝分かれの部分はうまく利用し、
桁が組まれている。
縦横の芯のずれも、高さの違いも見事に、大工棟梁の腕にて組みこまれている。
この棟梁の脳みその構造がやたら気になりました。
築300年のこの民家、雨水さえ洩らさなかったら、まだ、300年は健在だろう。
300年後、いや30年後にこの民家に手を加えて直せる、
棟梁が健在だろうか?
建築基準法よ、大工の命の火を消さないでくれ!
この民家は、一見の価値が十分にある。是非、一度ご覧あれ。
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